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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

Heritage Audio MCM20.4を導入。

Heritage Audio MCM20.4を導入しました。以前NEVE8816と8804のセットで使用していたことがありますが、今回のHeritageはかなり濃厚なNEVEサウンドといった感があります。やはりヘッドルームが1173をモチーフにしているところがあるのかもしれませんが、8816がかなり薄味だったのに対して、今回は濃厚な味付けでかなりご機嫌です。

導入の発端としては、うちのミキサー軍がHi-Fiサウンドの極みのような状況で、SSL-XL Desk、SPL-Neos、SPL-Mix Dreamというチェインの中、SSLはelysiaの機材で500シリーズを埋めているのと、バスコンプレッサーにもelysia-MPressor rack versionを使っていることから、実質上はelysiaで纏められている状況です。これにSPLの2機種が使われていますから、それはもうとてつもなく垢抜けたサウンドを目指したチェインとしてこれまで運営してきました。しかしここへ来て、少しファットであったり、パンチーという意味合いを持つサウンドが欲しくなり、Hi-Fiの中にも上手くヴィンテージサウンドを溶け込ませたいと考えていました。また、ここまで機能を持ち合わせているサミングミキサーというものは珍しく、PANや各トラックのInsert Pint、またサブミックスのルーティングやサブミックスバス、ミックスバスにもInsert Pointがあり、更には2系統のAUXが付いていたことも非常に大きなポイントです。

『AUXなんか多用する?』と言われそうですが、『はい、物凄く使います。』というのが回答です。海外映画の楽曲や、クラシカルクロスオーバーを当スタジオでは得意分野の一つとしていますが、100トラックを超えるチェインを全てアナログ回路でミキシングしますと、リバーブやエフェクトなどの部類はDAW内のAUXで対応するのか、もしくはミキサー内で行うかの選択を求められます。そして当スタジオはリバーブ、エフェクトには滅茶苦茶にこだわっておりまして、NEVEのRMX16-500や、Audifiedそして最強のマシンEventide H9000Rまでもがインストールされています。これまでの経験上、アナログ回路のAUXで混ぜた場合と、DAWからのSendでアナログアウトされた音源とでは、結果としてアナログミキサーで混ぜたAUXの方が全然美しさが上という結論を持ち合わせています。特に海外映画の楽曲などは、とてつもなく壮大な雰囲気を必要とされますから、ちょっとやそっとDAWで頑張ったくらいでは太刀打ちできません。アナログミキサーで100トラック超えの楽曲を扱うなんて、信じられないほどの規模の話ですが、現に当方でプロデュースしている楽曲は以上のプロセスを経て完成しています。


以上のように、Heritage Audio MCM20.4は機能的な魅力は勿論ですが、今回は特に1173のサウンドを踏襲しているとのことで、その魅力というのは計り知れないものがありました。最終のバスコンプレッサーに、IGS AudioのMulticoreやS-Typeを挿してみたり、あるいはelysia MPressorもよく似合います。Bettermakerも良いですね。それぞれでかなり味付けに変化が加わるので、ドラムサウンドを凝りに凝る場合などによく用いています。僕の場合は海外の仕事が殆どなので、強力なドラムサウンドというものを求められることが多々あります。求められると言ってもクライアントから言われて対応するのではなく、積極的に自らで完成型を創造する折に結果的な形としてドラムに注力することはよくあります。コンプレッサーもEQも、そしてエフェクトもガンガンに深く掛けますから、味は濃ければ濃いほど良いというわけで、その濃い口の味を如何に楽曲へ反映するかが腕の見せ所といった感があります。

今後、メインの機材の一つとして頑張ってくれることと思います。

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