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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

HEDD Phone – ヘッドフォン レビュー

HEDDのヘッドフォンを、世界で最も早くデリバリーを受けた当スタジオですが、CEOのフレディとの友情関係と共に彼の製造するヘッドフォンの素晴らしさに惚れ込んだこともあり、私たち自身もヘッドフォンに関してはグローバル・ディーラー(日本に縛られないディーラー)という立ち位置での活動を始めました。当スタジオ自身が世界展開する音楽スタジオであり、世界各国のヒット曲に裏付けされる形で、このヘッドフォンを使用し製品の素晴らしさというものを実証していくという立場でもあります。

これらの流れの中にある私たちの活動ですが、既にスタジオではヘビールーティーンにてこのヘッドフォンが稼働中です。マスタリングスタジオレベルで使用できるヘッドフォンと言えば、これまではSennheiserがその主流であり、世界中のスタジオエンジニアの友人たちもSennheiserを使用しているケースが殆どでした。良く色付けが無いとか、素直であるという表現をされるケースがありますが、それ以上にスタジオで、尚且つ世界的な楽曲を扱う際、最も必要なものは

『楽曲内のディテイルをすべて理解できるモニター』

であることです。どれも抜け落ちてはいけないというのは、実は物凄く難しく、例えば当スタジオで導入しているスピーカー、Kii THREE + BXTは正に聴き逃しが一切ないスピーカーの一つです。通常導入しようとすれば600万円近い額面が必要となるスピーカーですが、サウンドを聴けばその必要性というものは一発で理解できます。そういう意味では、世界では大人気のスピーカーですが、日本では全く導入事例を見ないほどに沈黙しているのが残念です。そして、Kii THREEのような立体感あるオーケストレーションを理解できるヘッドフォンとなると、今のところHEDDを超えるものは間違いなく存在していないと感じています。正に精密な再生を可能としており、ミキシングやマスタリングにおいて音像やステレオイメージ、更には配列されている楽器のポジションから収録された部屋のディテイルまでが見えるサウンドであり、最近流行りのやたらに高音域を強調したテイストということもありません。なので、真の実力を感じる音色作りをしていると感じさせます。

特に先のKii THREEのような、行き過ぎたスピーカーを使用している場合、使用機材によって余りに違いが出過ぎてしまうというのは、プロデューサーやエンジニアサイドの判断力を鈍らせることが多々あるため、なるべくその違いというものを避ける傾向にあります。Kii THREEはエンドーサーということもあり、世界中から質問が寄せられますが、HEDDのヘッドフォンとの相性とその導入理由について聞かれれば、ズバリ

『Kii THREEとの間でモニターを行き来させるとき、ほぼ同じ音をヘッドフォンから聴けるから混乱しない』

という回答をしています。敢えてコンシューマー向けの機材を入れて、カーステレオをシュミレーションすることはありますが、ラージスピーカーについては兎に角楽曲内で全てのディテイルを知り尽くしたうえで、最終的なマスタリングを決定したいという思いがありますから、自然とか色付けのない・・・といった従来型の表現を超越してくる機材が求められるわけです。これは国内の楽曲以上に、ダイナミックレンジも楽曲の構成も、そしてサウンドのテイストも何もかもが高次元で動く世界の楽曲クォリティに準じ、尚且つその中でヒット曲を生み出すという使命を課せられた人間の求める基準ともいうべきものかもしれません。


例えば、上の映像はNaranというモンゴルのスーパースターで、昨年の初夏辺りからリレーションの始まったアーティストです。彼女の楽曲を何曲かマスタリングさせてもらう機会がありましたが、この曲の場合非常に多くの要素を含んでおり、最初は小編成で楽曲が進行しますが徐々にストリングス・オーケストラが入り、更にはNaranの物凄い歌唱力で最高潮を迎えて行きます。こうした躍動感というものを表現するにあたり、最大限のダイナミックレンジとステレオイメージ、そして音像というものにおいての美しさを追い求めます。完全に芸術の域なのですが、この芸術性が理解できないと、世界の中で生き残ることはほぼ不可能です。いわゆる国内で言われる『EQ・コンプ処理』というレベルの話ではなく、如何に楽曲を芸術の世界へと昇華させるかがプロデューサーやエンジニアの手腕であり、強烈に楽曲へ色付けを行っていきます。同時にこうした芸術的な作業には失敗もつきもので、大きく変化を与えるからこそ、自らの感性が絶対的な軸を持っていないと対応しきれなくなります。その上、アーティストやプロデューサーたちから様々な要求が出されるわけで、その要求に立った上での芸術をどう表現するのか・・・という、少し何か音の変化を与えればOKが出るというレベルではありません。世界レベルとはそういうものです。ともなれば、ヘッドフォンやスピーカーは兎に角全ての楽曲内にあるディテイルを映し出してくれないことには始まらないわけです。

これほどの要求に応えてくれる機材というものはそう多くはなく、国際エンドーサー契約を13社持っている中で、物凄く優遇されている環境を与えられ、更には世界最先端の視点や意見交換を繰り返す中で、やっと1つ2つ使える製品が見つかる程度・・・というのが正直なところです。楽曲自体もものすごいスピードでトレンドが入れ替わりますから、その更なる先にあるトレンドを自らが作り上げ、世界中のクライアントに応えるのが私たちの仕事です。こうした過酷な環境下の中、先のミュージックビデオの楽曲制作でも、HEDDのヘッドフォンは大活躍しました。何と言っても、全体像を映し出すオーケストレーションの表現力、そして空間美というものが何にも勝る魅力を持ち合わせています。そして、楽曲内の何もかもを教えてくれます。

HEDDのCEOフレディー(左)と、伝説的な設計者ハインツ(フレディのお父さん)と共に、ベルリンの本社にて


ベルリンの本社では、HEDDの製品が一堂に介しており、その魅力というものを存分に聴くことが出来ました。特にスピーカーではタワー型のものが素晴らしく、現在日本に上陸させるべく、うちのスタジオに導入させようとCEOと話し合っている最中です。つまりは、Kii THREEとHEDDタワーを並べるという、かなりクレイジーな企画を立てています。

HEDD本社のリスニングルーム


ベルリンで聴くことの出来たHEDDの製品群。CEO自身が音楽博士でマスタリングエンジニア上がりということもあり、楽曲のディテイルを良く表現できる音作りというものを感じさせるのがHEDDの機材だと感じています。スタジオワーク内では、独特の共通言語というものがあり、それは言葉では言い表わし難い

『良い音への感性と感受性』

を大いに共有できるメーカーであることは間違いありません。そしてHEDDの持ち合わせる最高峰の技術というものを、ヘッドフォンへ流用することでリスニング環境を超えた、マスタリングエンジニアの使用にも耐えうる、世界最高のヘッドフォンをリリースしてきたと感じています。ここまでのスペックを持ち合わせていますから、勿論リスニング用途でも大いに楽しんで頂けます。

当スタジオでは、世界最高の環境でこのヘッドフォンをご試聴・ご購入いただくことが可能です。その他、世界中から集まる情報を基にした、私たちの持つノウハウを用い、スタジオやリスニングルームのコンサルティングなどについてもご遠慮なくお問い合わせください。ケーブルなどにも対応しています。

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