King of effector とも称することのできる、Eventide H9000Rを導入しました。夏のアップデートの続きで、到着した機材になります。早速に使用しておりますが、まあ兎に角すごいの一言です。リバーブを含む空間系は、以前からハードギアでしか話にならないと思ってきましたが、この機材が来るまでは、やはり一つの機材に対して一つのエフェクトという状況でしたので、理想に理想を積み上げるようなことはできていませんでした。しかし、今回導入したH9000Rはアナログ・ADATも含めたチェインはなんと16ch、ステレオ8系統ものモンスターで、100トラック以上の映画主題歌でも使いきれないほどの、豊富なサウンドメイクを可能とするシステムです。そしてやはり、プラグインではない豊かでナチュラルなサウンドを奏でており、これはもう手放せない一台になりました。
まだ導入して間もないこともあり、何処まで使いこなせているのか分かりませんが、Emoteというイーサネット上のソフトウェアで音源を処理していく様は、非常にチェインが作りやすいですし、それぞれの楽器にそれぞれのリバーブを宛てるといった芸当も可能です。少し使ってみたところでは、ピアノとストリングスオーケストラのような大編成の楽曲に対しても、それぞれに似合うリバーブを選ぶことができるので、非常に自由な空間を作り上げることができます。音場が違ってしまうのではないかと考えがちですが、いえいえどうして、想像以上に美しい空間美を自由自在に作り上げることが可能です。特に自分のような海外の大掛かりなクラシカルクロスオーバーや、映画音楽を手掛ける身としては、エフェクト系が正に命とも言えるような重要性を持ちます。
使いこなせないくらいの量のエフェクトを含んだH9000Rですが、リバーブの他にも本当に数えきれないほどの様々なプリセットを持ち合わせています。他にはボーカル用のエフェクトは勿論、シンセサイザーやドラムにも用いることのできるエフェクターが選り取り見取りで収録されており、その上FX系のサウンドも入っていますから、アイディア次第で様々な使い方が可能です。ドラム用のエフェクトには、NEVE RMX16 500を既に使用していますが、NEVEはその独特の持ち味というものがEventideで出すことができないと感じています。NEVEほど強烈な個性を出されてしまうと、その代わりというのは難しいかもしれませんが、殆どのエフェクト機能はH9000Rで済んでしまうと言えるかと思います。それくらいのスケール感を持っている機材ですし、唯一無二の存在という機材であることも間違いありません。
これからの作品で、大暴れしてくれることと思います。
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