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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

高い志という共通言語

高い志という共通言語・・・スタインウェイグランドピアノを通して

スタインウェイ・中古グランドピアノ

時に志を共に出来るきっかけというものは、様々に存在します。それが同業者であれ異業種であれ、性別・年齢差・人種など全ての要素を飛び越えて感じることの出来る、これ以上無い清々しい思いというものがあります。 先日スタインウェイの取引を行わせていただいた方は、大阪いずみホールの専属調律師ということで、当方が扱っているスタインウェイを含め、様々な要素を外的に評価されるというものでした。常にクライアントとは程よい緊張感を保つよう心掛けていますが、同業他社の査定が入るというものは、そう容易く対応できるものでもありません。しかもそれが超一流の相手となると尚更です。しかし、常に良い体制へとアップデートを繰り返さなければならない昨今の企業にとっては、一つのベンチマークとして非常に重要な取引とも言えます。 当初より、その調律師さんとお電話でお話した折からは、非常に物腰の柔らかそうな方でありましたが、実際にお会いしての印象はやはり一流の仕事をこなしてきたであろう底力と、様々な修羅場を超えてきた人ならではの鋭さと気高さというものを感じ取ることができました。また、音というものに対しての捉え方や考え方、様々に存在する柵から離れ、自由に自らをアップデートし続け洗練された世界観を常に保とうとするところなど、一流の場でキャリアを積み続けると同時に、次のステップアップを考えるところなど、話せば話すほどに意気投合できる場所が多々ありました。 これはどんな分野にも言えることかもしれませんが、頂点というものを見続け、それに対してのとてつもないほどの情熱、そして何度も失敗を繰り返しながら頂上へと上り詰めようとする姿勢というものは、それを体験した人々にしか見えない景色というものがあります。その景色を共有し、熱意を込めた”何か”を持つか持たないかで、あらゆることへの共通認識というもので会話が成立します。頂上が高ければ高いほどに、勉強時間が長くなるために直近での収益とうものは、企業であれ個人であれ追うことができないのは事実です。また、その利益をマイナスにまでしながら研究開発を行い、それでも自らの信じる道を貫き、極々少数の人々が行き着く場を求め、やり抜ける人というものはそう簡単に居るとは言えないでしょう。 実際に僕の今いるポジションというものも、非常に多くの犠牲と困難を超えなければならないことが多すぎて、諦めようと思う気持ちに駆られたことは余りあるほどの日々を過ごしています。しかし、自らの湧き上がるような情熱を抑えることはできず、常に挑戦へと自らを奮い立たせる”何か”が、世界への挑戦という窓口を叩かせ続けました。世界という舞台で、しかもその中でも超一流の世界ともなればそう安々と仲間入りすることはできず、まずは国内での実績と思い日本の中でそれなりのものを積み上げても、その殆どが世界では通用しないという現実を知り、中々世界の舞台に届くチャンスというものを手に入れることはできませんでした。 ここで一つ定義しておきたいのが、世界の舞台での活躍というのは、輸入商社としての立ち位置や海外に仕事をお願いすることは、グローバルな活躍とは呼ばないということです。少なくとも僕はそう定義していました。留学もしかり、所謂お客さんですのでグローバルでの活躍には程遠い・・・どんな一流校であっても、それは学びに来ているお客さんでしかありません。 真のグローバルビジネスとは、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界中にクライアント(お客)を持ち、彼らからギャランティ(金銭)を受け取り仕事を遂行することであると思っています。あくまでこちら側が良いお客さんであれば、先方はお世辞も言えばお立てもします。これはビジネスではなく、ゲストです。ゲストである以上、相手側の本来のスキルや、自らのスキルをフルに用いることで勝負することもありません。 真の勝負とは、僕の世界観で言えば世界中のプロデューサーやエンジニアたちと同じ土俵に立ち、その音楽やサウンドにおいての評価を獲得することで、才能とセンスでクライアントから評価を獲得し仕事を受け続けることです。これを音楽の本場でやり続けるとなると、非常に厳しい戦いを強いられることになりますが、これ以上無い名誉な仕事を得ることもできます。 こんな自分の世界観というものを、スタインウェイのグランドピアノを通して知り合った、初めての方にお話する機会があるとは思ってもみませんでしたが、その思考というものを受け入れてくださり、尚且ご自身が持ち合わせてらっしゃる世界観を語ってくださいました。中々ここまで勢いの良い話をして、受け入れて頂くというのは簡単なことではありませんが、やはり一流を目指し、そこに到達しそして歩み続ける人というものは、意気込みもスタンスも全く別物という印象を受けました。 スタインウェイという非常に高額なピアノをやり取りするということで、自分としても取り敢えず自らの歩みというものを説明し、その視点でピアノを選定してきた要因というものを説明しようとする中で、商取引というよりは、お互いの人間として何を目指し今に至っているのかを語り合う場となりました。誰もが入ってみたい、または入ろうとしても入れないであろう狭い門を通り、様々な葛藤を通し自らを鍛え上げてきた人との会話というものは、お互いを尊敬し合える素晴らしいものとなりました。こうしたビジネスを超越した深い人間関係にこそ、真の音というものを追求することが可能な環境が整うとも言えるかもしれません。

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