elysia社にてルーベンCEOと共に
日本人が言うところの西洋人たちとの友人関係、またリレーションというのは実はのところ殆ど形成されていません。学生時分に
『日本人てすぐに友達っていうけれど、わたし全然友達だと思ったことないんだけど』
という内容の話をボストンの学友たちから聞かされたことは多々ありました。結局言葉もよくわからないし、何かしら魅力のあるスキルもないとなると、友人になる意味そのものがないと考えるのが西洋人の大方の考え方に思えます。移民の国アメリカならばまだしも、明確な階級社会にあるヨーロッパにおいては、ヒエラルキーという考え方は相変わらず根強く、友人関係を含むあらゆる人間関係は、双方のスキルとメリットがあってこそ成立するとされる思考が根底にあります。こうした世界観においては、そう容易く人間関係の輪に入り込めるようなものではありません。彼らがリレーションを望むには、欧米社会から見て明らかに魅力的と思える能力が必要になります。
熱心にマイキングを話してくれる、ウィーンフィルハーモニー専属のレコーディングエンジニア、ゲオルグと共に。(ウィーンフィルハーモニーのレコーディング直前の一コマ)
この考え方が日本にはあまりにもなく、スキルもないのに留学や駐在、更には観光などで人種差別を受けたとするケースを多く見てきました。確かに外国人として何処かの地域で活動するのは心細い一面もありますし、弱い立場かもしれません。しかし、それを覆すのは明らかに自らの輝くような能力であることは間違いありません。
そして知性と品性、更に能力を備えた人間に対して、欧米社会は大きく門戸を開いています。それこそ言葉など多少わからなくても、むしろその魅力的なアイディアや技術を見たいという積極的な姿勢を見せてきます。そして一定の地位を得ると、好奇心旺盛で余り変な駆け引きをしてこない彼らは、積極的に意見を求めてきます。
『君の経験から僕はどうしたら良いだろうか?』
『君ならば、僕の今の現状を見たときに次はどんな行動をするだろうか?』
『君からのアドバイスを是非聞きたい』
などなど、それはプライドが高いとされるイギリスやフランスの人たちも共通で、意外なほどに謙虚でフレンドリーな対応をしてきます。
特に音楽留学を考えている方にお伝えできるとしたら、お金を払って彼らの下に入ることは簡単でしょう。それは金銭が入ってくるというメリットが、彼らにあるからです。しかし、彼らから金銭や何かしらの恩恵を受けようとしたとき、先方が一方的に何かしらの対価を求められるような状況になった時こそ、本物の付き合いが始まります。つまり、ビジネスが発生してからが本物であり、それまでは建前で何となくは付き合ってくれているだけでしょう。しかし、こちらが有利な立場になり、対等な形で一対一の関係を求められたとき、そこからが本物の付き合いが始まると言えます。アイディアも能力も、知性も品性も、そして言語力も含めてあらゆる高い次元で求められるものが沢山あります。それらクリアし、真に価値のある人間として世界から認められたとき、彼らの本物の義理深さを知ることになります。そして国内では決して感じることの出来ない天井の高さ、無限の可能性というものをも感じ取ることが出来ます。
もっと欧米の奥深くへと入っていく楽しみを知ってもらいたく、本日は文面を認めてみました。
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