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執筆者の写真Furuya Hirotoshi

アビーロードスタジオのロビンと共に

先週のこととなりますが、アムステルダムのアビーロードスタジオからロビンが来日し、彼と一緒に食事やドライブを楽しみました。代理店の招聘で来日したようでしたが、代理店経由で伝えられている彼の姿と、実際にヒアリングして聞くことの出来た彼の姿は随分と違うものでした。

マイアミやロンドンを拠点に仕事をし、現在はアムステルダムで教鞭をとっているとのことで、4月にアムステルダムにいった折に彼の職場には顔を出していましたので、Facebookでコンタクトして直ぐに打ち解けることが出来ました。凄く気さくな人で、ベルギーのリエージュに居るマスタリングエンジニアのDanと友人だったことは大きく、彼もベルギー出身とのことで、僕がDanのスタジオに行っていたことなどは良く知っていました。また、SPLのエンドーサーという立ち位置も大きかったことが助けとなり、彼が一番最初に僕を知ったのはプロダクトマネージャーのSaschaとSPLのサイトに掲載されている写真を見たとのことでした。実際大手メーカーでも世界に5-6人ほどしかいないエンドーサーは、誰にとっても憧れであり、また一つの力というものを世界にアピールするものでもあります。それがアビーロードのレベルまで行ったとしても、一定のステータスをもって受け入れられることを改めて痛感しました。

写真の食事後には皇居や生まれ故郷の神保町を車でドライブし、ビートルズの Come togetherを聴きながら彼が、

『このアンビエントの響きは、2ndスタジオだな』

などという会話はこれ以上ない幸せなひと時でもありました。一歩一歩世界の階段を上ってきて感じるのは、その価値と芸術性の奥深さというものを肌身で感じとっています。ロビンがFacebook上でシニカルな記事をアップしていたのは、正直悲しい一面もありましたが『やはりな』というところもありました。彼曰く日本でのセミナーについて、

『あるセミナーで、何故プラグインがこの設定なのかと聞かれたから、体でリズムを感じて、最も音楽的なところがここだろ?どう?と答えたら、通訳も含めてクレイジーなヨーロッパ人の言っていることは良く分からないと、部屋中凍り付いていたよ』

という一文がありました。要はセミナーで最も伝えたいところが、上手く受け止められていないということを説明している感じでしたが、その下のコメントも残念なものが多い気がしました。質問の内容やその部屋の空気というものは想像するしかありませんが、僕が担当させて頂くセミナーでも、音楽を共有するというよりは設定やメモリの話が多く、音楽の内容まで行き付くことが出来ていないことが殆どです。この辺りの考え方、認識を新たにしていかないことには、音楽先進国・並びに世界最高峰と言われるところでは通用しないのかと思います。

実際に彼の日本の音楽に対する考え方というものは、日ごろ僕が皆様に伝えているような厳しいものでした。コード進行、サウンド、どれもこれもを受け入れることがありませんでしたし、それは僕も様々なところで発言してきていますので、再度同じような話を彼とした・・・という認識でした。機材でも電圧でもケーブルでもなく、結局音を扱う人間、音楽を作る人間の認識一つで何もかもが変わるということは、これまでの経験で嫌というほど見てきています。様々な諸要因を語る前に、本人の感性が行き付いていなければ、判断も基準も何もかもが違うところに行き付いているという所に回帰する必要があります。この辺りの考え方ひとつで、世界に通用する音楽の制作も可能だと感じています。

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